「そろそろ寝よう」と声をかけた途端、「まだ遊ぶ」と元気になる。片づけ、お風呂、歯磨きまで終えたのに、今度は絵本をもう一冊。毎晩のことだからこそ、親もだんだん疲れてしまいます。
子どもにとって、眠ることは楽しい一日を終えることでもあります。遊びを急に止められたり、大好きな人と離れて暗い部屋へ行ったりするのが惜しいのかもしれません。
すぐに眠らせる方法を探すより、「遊ぶ時間」から「休む時間」へ渡るための短い橋を、毎晩同じように用意してみます。

終わる時刻より、終わる順番を見せる
時計がまだ分からない子どもに、「8時だから寝るよ」は実感しづらいことがあります。
「この車を駐車場に入れたらおしまい」「この絵本を読んだら電気を消す」のように、目で分かる終点をつくります。始める前に伝え、できるだけ毎晩同じ順番にします。
米国小児科学会の保護者向けサイトでも、予測できる一連の就寝習慣は、子どもが次に何が起こるか理解する助けになると紹介されています。特別な内容より、繰り返せることが大切です。
「あと一回」を、先に一緒に決める
終わる直前に「もう一回」と言われ続けると、親は約束を破られたように感じます。でも、子どもにとっては、終わりへ近づく時間が必要なこともあります。
最初に「最後はどれにする?」と選んでもらいます。積み木を一つ積む、車を一周走らせる、ぬいぐるみにおやすみを言う。その一回を親も一緒に見届けます。
さらに求められたら、「もっと遊びたかったね。続きは明日にしよう」と同じ言葉を繰り返します。長い説得を始めないことが、親の消耗を減らします。
小さな「おしまいの儀式」をつくる
遊びを終えるたびに、すべてを完璧に片づけなくても大丈夫です。作りかけのものはトレーに載せる。ぬいぐるみに布をかける。車を一列に並べる。
「また明日ね」と遊びに区切りをつける動作があると、子どもは、なくなるのではなく続きがあると感じやすくなります。
わが家だけの短い歌を歌う、カーテンを一緒に閉める、明日の朝にしたいことを一つ話す。儀式は小さいほど、疲れた夜にも続けられます。
寝室へ行ってからの選択肢を残す
寝ること自体は変えられなくても、パジャマ、読む絵本、消す照明の順番などは選べます。
「寝る?寝ない?」ではなく、「この本とこの本、どちらにする?」「自分で電気を消す?お母さんが消す?」と、枠の中で選べるようにします。
決められない日は、「今日はこの本にするね」と親が決めます。毎晩必ず選ばせなくても、寝る前が安心できる流れになれば十分です。
親も一緒に、少しだけ静かになる
子どもにだけ「静かにして」と言いながら、大人のスマートフォンやテレビが明るいままだと、切り替えにくいことがあります。
就寝前の10分だけ照明を少し落とし、大人も声を小さくする。活発な遊びから、絵本やゆっくりした会話へ変える。家全体を完全に静かにできなくても、毎晩同じ合図が一つあれば構いません。
うまくいかない夜の最低ラインを決める
疲れ切った日は、お風呂を短くする。絵本は一冊にする。片づけは明日に回す。「これだけできれば寝ていい」という最低ラインを、親の中に持っておきます。
寝かしつけに時間がかかった夜を、失敗にしなくても大丈夫です。習慣は一日で完成するものではなく、同じ流れを何度も経験する中で少しずつ育ちます。
いびきが強い、呼吸が止まるように見える、夜中に何度も目覚めて日中の生活にも影響しているなど、睡眠について気になる様子が続く場合は、小児科へ相談してください。
「寝る時間」は、遊びを取り上げる瞬間ではなく、今日を一緒に閉じる時間。最後の一回を決め、短い儀式を挟み、いつもの順番で眠りへ向かう。その小さな繰り返しが、親子の夜を少しずつ穏やかにしてくれます。