何度言ってもやめない。急いでいるのに動かない。余裕がなくなり、思っていたより大きな声で叱ってしまうことがあります。
静かになった部屋で、「あんな言い方をしなければよかった」と後悔しても、時間を戻すことはできません。でも、叱ったあとからできることはあります。
親子の関係は、一度もぶつからないことで守られるのではなく、ぶつかったあとに戻ろうとすることで育っていくのだと思います。

まず、大人が少し落ち着く
気持ちが高ぶったまま謝ろうとすると、「でもあなたが言うことを聞かないから」と、再び責めてしまうことがあります。
子どもの安全を確認し、「少しお水を飲んでくるね」と数十秒離れる。ゆっくり息を吐く。落ち着くための短い時間を取ります。
その場ですぐに完璧な言葉を伝えられなくても大丈夫です。声の大きさが戻ってから、子どもの近くへ行きます。
「大きな声で言ってごめんね」
謝るときは、何について謝っているのかを短く伝えます。
「さっきは大きな声で言ってごめんね」
「怖い言い方になってしまった。ごめんね」
「あなたが悪いから怒鳴った」と条件を付けず、大人が選んだ言い方について謝ります。
親が謝ることは、危険な行動を認めることではありません。「たたくのは止める」というルールは残したまま、「怒鳴ったことは謝る」と分けて考えます。
「嫌だったね。怖かったね」
子どもが泣いていたら、気持ちを決めつけない程度に言葉にします。
「びっくりしたね」「まだ悲しいかな」と伝え、違うと言われたら言い直します。すぐに「もういい?」と許しを求めず、子どもが黙っていても待ちます。
抱っこを嫌がるときは無理に触れません。「ここにいるよ」と伝え、子どもが近づける距離で待ちます。
「伝えたかったのは、ここだよ」
落ち着いたら、必要なルールを一つだけ伝え直します。
「道路では手をつなごう」
「おもちゃは投げず、床に置こう」
「たたかずに、『かして』と言おう」
CDCは幼児への指示について、「やめて」だけでなく、してほしい行動を具体的に一つずつ伝えることを勧めています。長い説教を繰り返さず、次にできる行動を示します。
「もう一度やってみようか」
可能なら、やり直す機会をつくります。
投げたおもちゃを一緒に置き直す。玄関まで戻り、歩いて入り直す。「貸して」と言う練習をする。
やり直しは罰ではなく、次にどうすればよいかを体で確かめる時間です。できたら「そっと置けたね」と、具体的に伝えます。
「大好きだよ」は、許してもらうために使わない
叱ったあと、「大好きだよ」と伝えることは安心につながります。ただ、その言葉で子どもの悲しみをすぐ終わらせようとしないことも大切です。
「大好きだよ。まだ悲しくてもいいよ」と、気持ちが残っていることを認めます。
子どもがすぐ笑わなくても、謝罪が失敗したわけではありません。親が戻ろうとしたことは伝わっています。
同じことを繰り返しても、また戻ればいい
一度謝ったから、もう怒らない親になれるわけではありません。疲れや焦りで、同じように強く言ってしまう日もあります。
繰り返しが気になるなら、「夕方は予定を減らす」「同じ注意を三回する前に親が離れる」など、言葉ではなく環境を変えます。
叱ったあとの短い言葉は、なかったことにするためではありません。怖い言い方をしたことは謝り、守ってほしいことは短く伝え、もう一度つながり直すためのものです。
「ごめんね」「怖かったね」「伝えたかったのはこれだよ」「もう一度やってみよう」。全部を一度に言えなくても、今の親子に必要な一つから始めれば大丈夫です。