子どもに薬を飲ませる時間は、思っていた以上に緊張します。体調が悪いだけでも心配なのに、口を閉じる、顔をそむける、せっかく飲んだ薬を吐き出してしまう。早くよくなってほしい気持ちが強いほど、「ちゃんと飲ませなければ」と親も焦ってしまいます。
けれど、嫌がる子を力で押さえて飲ませることが続くと、薬を見るだけで身構えるようになることもあります。大切なのは、毎回完璧に進めることより、その子と薬に合う方法を少しずつ探すこと。わが家で試す前に知っておきたい、一般的な工夫をまとめました。

まず、薬ごとの飲ませ方を確認する
粉薬、シロップ、錠剤では飲ませ方が違います。同じ粉薬でも、食べ物に混ぜてよいもの、避けたい飲み物があるものなど、注意点は薬によって異なります。
処方されたときに「何に混ぜてもよいですか」「食前でもよいですか」「吐いた場合はどうすればよいですか」と薬剤師に聞いておくと安心です。以前もらった薬や、きょうだいの薬を自己判断で使うことは避けます。
混ぜるなら、食べ切れる少量に
混ぜてよいと確認できた薬は、ひと口で食べ切れる少量の食品に混ぜます。いつもの食事や哺乳瓶一本分に混ぜると、残したときにどれだけ飲めたか分からなくなり、その味自体を嫌いになる可能性もあります。
また、子どもの大好物に混ぜる場合も慎重に。薬の苦味を感じた経験から、好きだった食品まで嫌がることがあるためです。「必ず食べてほしい主食」ではなく、少量で試せるものを薬剤師と相談して選びます。
道具や姿勢を変えてみる
シロップは付属のスポイトやシリンジ、計量カップなど、量を正確に測れる道具を使います。口の正面から一気に入れるのではなく、頬の内側へ少しずつ入れる方法が向くこともあります。ただし、むせない姿勢と速度を優先します。
粉薬は、ごく少量の水で練ってペースト状にする方法が案内されることもあります。飲ませ方は年齢や薬によって違うため、自己流に決めず、処方時に実演してもらうのもよいと思います。
「飲めた量」を責めない
吐き出してしまったとき、「どうして飲まないの」と言いたくなる日もあります。でも、子どもは苦味や見慣れない感触を警戒しているだけかもしれません。
まず口のまわりを拭き、親も一度深呼吸します。すぐに同じ量を追加すると過量になる可能性があるため、飲み直しの判断は処方元や薬剤師へ確認します。飲めた日は「飲めたね」と短く伝え、必要以上に大きな出来事にしないことも、次の負担を小さくします。
選べる部分をつくる
薬を飲むかどうかを子どもに委ねることはできなくても、「青いコップと白いコップ、どちらにする?」「座って飲む?抱っこで飲む?」と、周辺の小さなことは選べます。
見通しが分かるように、「薬を飲んだら、お水をひと口。そのあと休もうね」と短く伝えるのも一つです。説明を重ねすぎず、毎回だいたい同じ流れにすると、子どもにも終わりが見えやすくなります。
手の届かない場所に保管する
薬は、お菓子のように見えることがあります。服用の直前まで子どもの手が届かない場所で保管し、飲ませたあとはすぐ片づけます。冷蔵が必要かどうかも薬ごとに確認します。
誤って飲んだ可能性があるときは、薬の名前、量、時刻を確認し、自己判断で吐かせず、医療機関や中毒に関する相談窓口へ連絡します。
うまくいかない日は、専門家を頼っていい
何度試しても飲めない、飲むたびに吐く、ぐったりしている、水分も取れない。そんなときは、親の工夫不足ではありません。剤形を変更できる場合もあるため、処方した医師や薬剤師へ早めに相談します。
薬の時間は、元気な日のしつけの場ではありません。子どものつらさと親の焦りが重なる時間だからこそ、力比べにせず、使える道具や専門家を頼りながら進めたいものです。
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